大分くんの日記☆

大分の祭

大分の祭

八藩七領という豊臣政権下によって行われた小藩分立により、
各地で個性豊かな文化が興隆し受け継がれてきた豊後・大分県。
財政基盤が脆弱であったため、
日本を代表するような大規模な祭礼は存在しない。
しかし、他県を圧倒する多種多様な祭礼が今も脈々と受け継がれ、
その土地その土地の伝統をひっそりと今に伝えている。

「どうして大分にはこんなに素晴らしいお祭りが沢山あるのに、
 行政はもっとPRをしないのですか?」
他県のお祭りに行くと必ずこう言われる。

確かに、大分のお祭りに関する本は図書館に行けばあるものの、
全く興味が無い人がわざわざ閲覧しに行くとは思えない。
豪華絢爛な県内三大祗園のような集客力のあるお祭りに関しては,
行政も全面的にバックアップをするであろう。
しかし、小さなお祭りの場合、
広報費用と経済効果との比較衝量によって取捨選択をせざるを得ないのかもしれない。
地方自治体の財政状況が厳しい昨今、
事情は理解できる。
だが、それではせっかく先人達が構築してきた文化が失われていく一方である。
誰もが知らない小さなお祭りだからこそ、
市報・地方自治体のHPなどで取り上げ、紹介するべきではないだろうか。

“日本人は海外で日本の魅力を語れない人が多い”と揶揄されることがある。
全く同じことが大分においても言えるのである。
地元に多くの素晴らしいお祭りがあるにも関わらず、
情報量が少ないため気がついていないように思える。
大分の魅力について、
大分県民よりもずっと見識のある方が他県に多数おられることは否めない。

そんな現状を少しでも改善できたらと思い、
このブログを作ることにした。



祭の語源は、「神に奉仕(つかえまつ)ること」(本居宣長:古事記伝)や、
「神の来臨を待って侍坐して奉仕する意味の“まつらふ”」(柳田國男)など、諸説ある。

また、祭に対する考え方も様々で、
「酒食をもって神をもてなす間、一同御前に侍坐すること」(柳田國男;日本の祭より)、
「海・山・天から稀にやってくるマレビトに新穀を供え、芸能を演じること」
 (折口信夫:折口信夫全集第二巻より)、などがある。

私は宗教学・民俗学の専門家でも何でもないので、
上記のような難しいことはよく分からない。
私のような者でも理解・共感できたものを紹介したい。
「神と人、祖先と子孫、人と人とが一つの仲間たることをますます強固にし、
 ひとつの共同体を形成することが祭の本質。」(筧泰彦:日本語と日本人の発想より)、
「祭は社会生活のなかで最も自由になれる・生き甲斐を感じる瞬間。
人の生きる喜びの土台となっている。
エネルギーの積み重ねを祭の瞬間に爆発させ、
日常を超えて宇宙と一体化する。」(岡本太郎:日本発見6・祭より)

我が国では憲法20条により、信教の自由が規定され、
第2項で宗教上の行為・祝典・儀式・行事に参加することは強制されないとしている。
よって、宗教的色彩の強い祭への参加を皆さんに強要するつもりはない。
しかし、宗教という垣根を越え、
年に一度ないし数年に一度、
地域の住民が世代を超えて集まり交流をすることが
その地域にとってプラスになることを認識していただきたい。

次世代の若者が、
学校では教えてもらえない地域の歴史や伝統・人生経験などを諸先輩方から学べる絶好の機会である。
小さい時分からこのような話が聞けるということは、
今後の人格形成において非常に有意義だと思う。
こうした環境で育った子供は、愛郷心・責任感が強く、
相手の立場で物事が考えられるような大人へと育つはずである。
「祭好きには悪い人はいない」とよく言われる所以は、
前記の様に学校・家庭における教育の不足部分を地域社会全体で補い育てていくからではないだろうか。
このことは祭関係者に礼儀正しく真っ直ぐな人間が多いことからも容易に推測できよう。

また、ストレス社会と言われる現代において、
たまったエネルギーを発散させることも祭の果たす重要な役割である。
仲間達と思いっきり笑い・騒ぎ・踊り・酒を飲み・その時間を楽しめば、
キレるということも無くなるのではないかと考える。


ここ数年の社会的・経済的基盤の変化により、住民の意識も大きく変貌を遂げてきた。
転勤の範囲も広域化し、生活圏も飛躍的に拡大。
全く無縁の土地に居住することは当たり前のようになってきている。
それによって地縁意識の薄い住民が増え、
都心部・農村部では地域行事の遂行にも支障をきたす結果となっている。
地域と住民の関係は、従来のような包括的な一元的結合関係は薄れ、
部分的・機能的な多元的依存関係へと変質を遂げている。
この地域社会弱体化を食い止め、
運命共同体的一体意識を復活させる特攻薬が『祭』などの地域行事の活性化であると考える。


取っ掛かりはめんどくさいかもしれないが、
騙されたと思って地元のお祭りに是非ご参加いただきたい。
入ってみると、非常に居心地が良いコミュニティである。


私は大学4年間、就職してからの2年間を県外で過ごしたため、
大分のお祭りに関する情報量はまだまだ少ないが、
平成19年4月の大分への異動に伴い本格的に活動を開始する予定である。

有名なお祭りは私が紹介するまでもないことなので、
詳細は割愛させていただこうと思う。
私のよりも遥かに素晴らしいHPが数多く存在するので、
そちらを参照されたい。

最初は大分市内を中心に主に小さなお祭りにスポットを当て、
地域の方々との交流を紹介できればと考えている。
民俗学や音楽について全く無知であるため、
それらに造詣が深い方から見れば幼稚な内容かもしれないが、
写真を通して雰囲気を楽しんでいただければ幸いである。


また、東京や福岡のお祭りなど、
年に数回の遠征を行っているので、
そちらも番外編で紹介していきたい。




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